山椒(さんしょ)は英語でJapanese Pepperといいます。
日本特産の香辛料という意味なのでしょう。そういわれると何とも雅な香りがします。中国や韓国にもありますが、日本のものとは少し香りが違います。
ちなみに中国の山椒は花椒(ホアジャオ)と呼ばれ、四川麻婆豆腐のあのしびれる「麻」の辛味は花椒であり、四川料理には欠かせない食材です。
山椒はミカン科です。あの甘いみかんと同じ種類とは意外でしょう。
木の高さは通常3mくらいで大きくなっても5m(やはりみかんの木ほどです)。枝には薔薇のような鋭いトゲがあります。木はキウイフルーツのように雌株と雄株があります。実は直径5mmほどです。緑色の実が10月ごろに熟して赤くなり、自然にはじけ、中の黒い種子が出てきます。幹や枝は固く「すりこぎ棒」の材料に用いられます。
山椒は独特の上品な香りとともに次のような特性があります
 |
実山椒と木の芽(右下) |
@肉や魚の臭みを消す
A防腐性がある
B食欲を増進させる
C薬効がある
ただ香りには揮発性があり、長く放置すれば香りがなくなってしまいます。
山椒を使った料理って、何を思い浮かべますか?
もっともポピュラーなのは「うなぎ丼にかける薬味」でしょうか?最近は焼鳥屋さんにも置いてありますね。
これは山椒の熟した実を乾燥させ挽いたもので、「粉山椒」や「乾山椒」と呼ばれています。
七味唐辛子の材料としても、唐辛子と共に欠くことのできないものです。
使うのは熟した実だけではありません。
緑が鮮やかな若葉は「木の芽」と呼ばれ、京の懐石料理の彩りや、お吸い物の香りづけになります。使う直前に手のひらにのせ軽くパンパンとたたいて、「木の芽和え」、「木の芽味噌」などに使います。
花は「花山椒」といい、料理の吸い口や佃煮としての高級食材になります。
未熟な実(「青山椒」、「実山椒」と呼ばれます)は、主に茹でて佃煮にしますが、すりつぶして和え物にも使います。
「有馬煮」(有馬温泉の特産品)といえば、関西ではこの未熟な実山椒を使った煮込み料理のことです。京料理にも山椒がふんだんに使われています。
山椒を食べはじめたのは奈良時代といわれています。さらに縄文時代の遺跡から出土した土器からサンショウの果実が発見されたというエピソードもあります。日本で最も古くから食べられている食材の一つです。
薬効としては、山椒は昔から芳香辛味性健胃薬、整腸薬として利用されてきました。成分であるサンショオールやサンショウアミドは大脳を刺激して、内臓器官の働きを活発にする作用があるとされています。
最近ではサンショオールには脂肪の燃焼を高める効果もあると、みのもんたの「思いっきりテレビ」や「志村けんプロジェクト」など、健康法ダイエット方法を紹介するメディアで山椒が取り上げられるようになりました。
このように山椒は、日本が世界に誇る食材であり、もっと注目されてほしいと思っています。
|