山椒(Sansho)について




山椒はわが国を代表する香辛料です。


有史以前より現在にいたるまで、山椒は私達の食卓を美味しく豊に、暮らしを健やかに彩り続けてきました。


「山椒は小粒でもぴりりと辛い」(※)というように、山椒は人々の生活文化に深くかかわってきました。

山椒は日本人の特質、らしさの象徴ともいえます。
 英名は「Japanese Pepper」 ずばり”日本の胡椒”です。


                      (※)身体は小さくても、気性や才能が非常に鋭く優れている者を指して言うことわざ


私たち日本人と山椒のかかわり

約3千年前の縄文時代の遺跡からは山椒の化石が出ています。
山椒は有史以前から使われていました。肉や魚などを食アタリしないよう食べるためです、私たちの祖先は塩と山椒だけで調味していました。


中国の「魏志倭人伝」によると、紀元3世紀頃の日本には山椒が山に自生してたことが記されています。山椒の古名は「はじかみ」といい、古事記(7世紀)の中の神武天皇の歌にも詠まれています。10世紀ごろにはすでに薬や薬味として山椒の葉が利用されるようになりました。15世紀の室町時代に書かれた「大草家料理書」には、山椒粉をふりかける「うなぎの蒲焼」の料理が紹介されており、すでに今日のような使われ方をしています。





お正月のお屠蘇(おとそ)にも山椒が入っていますが、これは中国より祝い酒に山椒を
入れて飲む慣わしが伝承されたものです。
また、実をたくさんつけることから「子孫繁栄」のおめでたい木としても重用されていました。
かつては日本中のお庭に植えられていたものです。


一方、中国でも古代より漢方薬として利用されていましたが、おもしろい使われ方として、前漢(紀元前206年 - 8年)時代、皇后の居室を「椒房」といい、壁の中に山椒の実を塗り込み優雅な芳香漂わせたそうです。これをまねて貴族が庭に山椒を敷きつめたり、豪商も土塀に塗り込むなど、当時山椒は権力の象徴として扱われていました。  



紀州葡萄山椒は、山椒の中でも粒が大きく、ほのかに柑橘系の上品な香りがするのが特徴です。辛味はことのほか強く、実をそのままかじると舌がしびれてしまいます。西洋医学が導入される前は麻酔としても利用されてました。この地の山椒は実が房なりになることから葡萄山椒とよばれています。

当店は明治の創業時より一世紀以上にわたり、この葡萄山椒を取り扱ってきました。

山がちな地形の紀州では、古くから山椒が自生していました。当店の創業者山本勝之助は、薬効があり香味づけの食材として利用価値の高いところに目をつけ、最も優れた葡萄山椒の一本を親木として接木で殖やし、当地固有の品種として苗木を農家に無償配布しました。、収穫した実はすべて買い取るなど、農家が安心して栽培できるように奨励し、地域の特産品に育てました。明治から昭和のはじめにかけてのことです。

今では和歌山県の山椒生産量は年500トンを超え、全国一を誇っています。


時代は変わり、薬も食材も世界中からあらゆるものが調達され、誰もが手軽に手に入れることができるようになりました。そんな時代だからこそ、山本勝之助商店は本当によいものを、真心込めてお届けします。

当店の山椒は、創業者の遺徳を守り、いまでも国内産、しかも特に香りと辛味の濃い紀州産にこだわっています。お客様の長年にわたる品質への信頼にお応えするため、選りすぐりの山椒を契約生産により提供しております。もちろん、栽培履歴情報(食品トレーサビリティ)や農薬散布基準(ポジティブリスト)の開示など、食品安全性にも十分に配慮し、対応しています。

また乾山椒の場合は、天然の風味を活かせる「天日干し」、色合いと成分残留率を重視した「室内乾燥」など、ご利用の用途に合わせた山椒をご提供いたします。


山椒は日本が世界に誇る食材

香辛料・調味料として
山椒は古代より肉や魚の防腐・におい消し、食欲増進のために利用されてきた食材です。その気品ある香りと独特の刺激的な辛味により、現代も和食に欠かせない香辛料、調味料として重宝されています。
最近ではイタリア料理をはじめ、西洋料理の隠し味としても利用され始めるようになりました。
薬や美容品として
山椒は薬料としても昔から利用されてきました。
山椒には大脳を刺激して内臓器官の働きを活発にする作用があるサンショオールやサンショウアミドを成分に含み、生薬、漢方薬の重要な素材になっています。

山椒エキスは保湿・血行促進・白髪予防の薬用シャンプーなど美容品にも使われています。
サプリメントとして
最近、山椒ポリフェノールの抗酸化能力やサンショオールの脂肪燃焼を高める効果が報道され、健康ダイエットの面でも大いに注目されています。
特に葡萄山椒は柑橘系の爽やかな香りを持ち、ストレス解消や精神安定・リラックス、集中力向上などアロマ用途にも期待されています。




名称 主な用途 料理・材料の例 収穫の季節
乾燥 「粉山椒」「乾山椒」
熟した実の皮を乾燥させ挽いたものです。
薬味、香辛料
粉山椒(鰻の蒲焼、柳川なべ、焼き鳥など)、
七味唐辛子
カレー粉、ウスターソース、山椒塩
8月
漢方薬 ※大健中湯、椒梅湯、当帰湯ほか
「青山椒」「実山椒」
未熟な青い実を茹でるか、すりつぶしたものです。
佃煮(醤油煮)
魚料理(臭み消し)
ちりめん山椒、佃煮、有馬煮、魚の煮付け、懐石料理 5・6月
「花山椒」
小さい黄緑いろの花です。
佃煮、料理の彩り 高級珍味
春を感じる爽やかな風味と軽やかな食感は高級珍味として食通に知られています。花山椒の香りはやさしく、実山椒を好まれない方でも美味しくお召し上れます。
4・5月
若葉 「木の芽」
単純な"木の芽"という名が山椒の若葉を指します。それだけ日本人にはなじみが深いのです。
お吸い物、酢の物、ちらし寿司
田楽
木の芽和え、木の芽味噌、てんぷら 4〜6月
擦りこぎ
硬くてほのかに山椒の香りする、すりこぎ棒の最高級品です。
他にも 箸や杖、鉢植え(観葉植物)にも利用されています。
年中
 ※大健中湯
腹痛やお腹の張りをやわらげ、体をあたためて胃腸の調子をよくする。体力がなく冷え症で、お腹をこわしやすい人に向く処方。構成生薬は山椒・乾姜(胃腸の働きをよくし、お腹の冷えや腹痛をやわらげる)膠飴(麦芽糖、胃腸の調子を整え、栄養分を補給

薬効成分 作用
※山椒ポリフェノール 抵酸化作用(がん・心疾患・脳血管障害抑制。)
血行促進(育毛、白髪予防)
サンショオール 辛味成分。健胃作用。腹部の冷え解消。
シトロネラール 芳香成分。
ジテルペン 芳香成分。抗ウイルス作用。胃酸過多抑制。
フェランドレン 芳香成分。強壮作用。
ゲラニオール 芳香成分。抗感染作用、強壮作用。
リモネン 芳香成分。ガン抑制。
※山椒ポリフェノールの優れた活性酸素除去能力(抗酸化力)については、国際的な食品化学雑誌「Food Chemistry」でも紹介されています。Food Chemistry 100(2007)171-177 Antioxidant activity of Japanese pepper
有効成分 分量(100gあたり)
水分 8.3
たんぱく質 10.3
脂質 6.2
炭水化物 糖質 49.7
繊維 19.9
灰分 5.6
無機質 ナトリウム 10mg
カリウム 1,700mg

カルシウム

750mg
マグネシウム 100mg
リン 210mg
10.1mg
亜鉛 0.9mg
0.3mg
ビタミン A カロテン 200μg

レチノール(当量

33μg

B1 

0.1mg

B2 0.45mg
ナイアシン 2.8mg
エネルギー   375Kcal




山本勝之助(1862−1939) かねいち

当店は商号を「かねいち」といい、1880年(明治13年)の創業です。

紀州(和歌山県海南市)において山椒などの薬種材料、棕櫚(しゅろ)製品等の紀州特産物を販売しております。

創業者山本勝之助は、若い頃より共存共栄の商いを標榜し、自らの成功失敗の体験をもとに「※手廻しせねば雨が降る」など、いくつもの訓語をつくって配り、多くの人の商売がうまくいくよう願いました。

私たちは、勝之助の創業精神を守り、時代が変わっても変わらないもの、変わってほしくないもの、守りたいものを伝えながら商いをしております。

※準備(手廻し)を怠ると災いが舞い込むという意
昭和3年(1928年)昭和天皇即位を記念に内務省(当時)の認可を得て20万部配布したビラ
当店の古い建物は、母屋、店舗、蔵など11棟が国の登録文化財に指定されています





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